ファクトシート

最終更新: 2026-09-06 / 変更履歴はページ末尾

このページは「あったら良いページ」ではありません。この数字を信じてよい範囲を、私たち自身が先に書いておくためのページです。


A. この数字は何か

Catchspan 値(1850cs)= 知っていて、かつ自然な発話の中で復元できる英単語の推定数。

2段階で測っています。

Stage A  引用形で語を提示 → その語を知っているか      (=従来の語彙サイズ測定)
Stage B  同じ語を自然発話の中で提示 → 復元できるか    (=この診断の本体)

復元率 R = Stage B 正答数 ÷ Stage A 既知数
cs     = 語彙サイズ V × 復元率 R

測定形式: Stage A は日本語4択の再認形式、Stage B は書き取り(再生形式)。
(Stage B にタイル選択を混ぜる実験を予定していましたが、音を聞かなくても当たることが分かったので
書き取りだけにしました → /facts/foils)
🔒 再認形式は推定値を膨らませます(Stewart et al. 2023, Language Testing, 日本人 n=103:
再認 M=785語 vs 再生 M=423語 ― 約1.85倍 https://doi.org/10.1177/02655322231162853)。
このため数値の近くに必ず測定形式を書いています。

射程: 核 8,750 語の内側に閉じています。「あなたの聴覚語彙は◯◯語」ではなく
「映画・TV の発話の 98% を覆う 8,750 語のうち、音で分かるのは約◯◯語」です。
核は BNC/COCA の上位 5,000 語族を flemma(屈折形だけをまとめた単位)に畳んだ 15,360 語のうち、
頻度順で上位 8,750 語 = 映画・TV の発話の 98% を覆う地点です。
🔒 2026-09-06 に NGSL 2,809 語からこの単位に移しました。旧 cs と新 cs は比較できません
(/facts/decisions)。


B. 何が分かっていて、何が分かっていないか

① 確立していること /facts/established
② 争点になっていること /facts/disputed
③ 未検証・分かっていないこと /facts/unverified ← ここがいちばん厚い

🔒 この3つを混ぜません。混ぜた瞬間にこのページの価値がなくなります。


C. なぜこの設計にしたか

設計判断 根拠 詳細
語彙サイズではなく復元率を主役にした Hamada (2025) IJAL 35(4), 日本人 n=58, r=.72 https://doi.org/10.1111/ijal.12747 /facts/established
Stage A を4択の再認形式にした Milliner, Matthews & McLean (2026) Language Testing, 日本人大学生 n=176 /facts/established
選択肢をすべて日本語にし、カタカナ語を1つも使わない 音の一致だけで正答できてしまうため /facts/distractors
カタカナ語と1対1対応する語をバンクから外した 同上 /facts/katakana
Stage B で音を消さない(穴埋めにしない) Kul (2024) Front. Psychol. 15:1305134 ― 文脈なし53% / 文脈あり48%。意味的文脈は助けにならない https://doi.org/10.3389/fpsyg.2024.1305134 /facts/established
綴りミスは許し、別語の聞き取りは許さない デコーディングと綴り技能を分離するため /facts/scoring
音声を合成音声にした /facts/audio /facts/audio
時間制限を設けない Saito et al. (2026) Second Language Research /facts/established

項目バンク(206語)をどう作ったか: /facts/items
その1つ1つをどの方針で決めたか: /facts/decisions


D. 私たちが約束しないこと

  • 🔒 この数字を上げれば聴解力が上がる、とは言いません。
    成人L2でそれを適切に統制して示した研究は見つかっていません
    (唯一の統制試験 Saito et al. (2025) Applied Psycholinguistics 45(6) は null, p=.632
    doi:10.1017/S0142716424000468)
  • 🔒 この数字が映画の理解度を予測する、とは言いません。私たちは検証していません
  • 🔒 「世界初」「唯一の」とは言いません。存在否定は構造的に最も弱い主張です。
    実際このプロジェクトでは、当初の「存在しない」という判断が2回 falsify されています
  • 🔒 語彙学習の教材は売りません。測定単位に留まります

E. 技術付録

🔒 項目バンクを作ったのは人間ではありません。
機械検証付きのエージェント作業で、以下の4点が未了です。

§2.3-4  日本語選択肢の自然さ(日本語母語話者)      未実施
§4.3    文脈文・断片の自然さ(英語母語話者)        未実施
B4      テキストのみでの推測可能性の事前テスト       未実施(cloze_pretest_pass は全項目 false)
§4.5    ディストラクタ別選択率                     公開後に取得

変更履歴

日付 変更
2026-09-04 初版。項目バンク124語の確定、採点規則の改訂、決定ログの公開
2026-09-06 単位を NGSL 2,809語 → BNC/COCA flemma に移行。分母を核 8,750 語に確定。語彙サイズの推定を帯ごとの正答率から曲線に変更。項目バンクを 124 → 206 に拡張(5帯すべてで境界帯の 30 問を積めるようにした)。縮約の分類を 3 軸に作り直し
2026-09-05 公開前に残っていた13の判断を決定(/facts/decisions)。Stage B をタイル選択なしに変更、断片28本を書き直し、語をまたぐ同化が音声に入っていないことを実測、Guo (2026) の引用を訂正、誤答分類の表示を実測している2種類に限定
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